オンライン学術セミナー2020 プログラム

9:00~11:15国際シンポジウム「PRO: 臨床研究と診療における価値」
International Symposium "PRO: Its value in clinical research and practice”

モデレーター:福原 俊一(京都大学 特任教授、Johns Hopkins大学 客員教授) 共催:武田薬品工業株式会社

"New quality of life (QOL) tools make it practical to monitor outcomes most important to patients; CKD as an example"

講師:John E. Ware Jr., PhD, Adjunct Professor, Tufts University School of Medicine (USA)
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In addition to clinical tests, physicians should also consider patient reported QOL, or what patients say they are able to do and how they feel. In this presentation, Dr. Ware will explain a Journal of the American Society of Nephrology (JASN) study (https://jasn.asnjournals.org/content/30/4/664) showing how improved QOL short-forms make it more practical to monitor patient reported outcomes and identify patients needing more screening in clinical research and practice.

Discussion and Summary
講師:John E. Ware Jr., PhD  福原 俊一

「QGEN-新しい包括的尺度とその臨床への応用」

講師:山本 洋介(京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療疫学分野 准教授)
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11:30~13:00ランチタイムセミナー:「患者中心型レジストリの価値」

レジストリ(疾患登録システム)とは、ある特定の疾患に罹患した方を登録し、(1) 患者数、患者分布の把握、(2) 疾患に関する様々なデータ(臨床所見、検査データ、治療内容、予後など)を調査する研究手法です。これにより疾患の理解や医療の向上、新しい治療方法の開発に役立てます。その中でも患者レジストリとは,疾患およびその疾患に罹患した患者さんの実態を明らかにして,疾患の治療や患者の社会福祉のための研究開発を促進することを目的としたレジストリです。
今回のセミナー前半は山崎先生から「臨床研究における患者中心型レジストリの重要性、位置づけ」について、また患者さんに具体的にどのようにデータをフィードバックするのかをご講演頂き、後半は松岡先生から潰瘍性大腸炎、クローン病等の「炎症性腸疾患領域における各種の患者中心型レジストリ」という内容で現在進行中のレジストリご講演頂きます。

共催:武田薬品工業株式会社

座長:上野 文昭(大船中央病院 消化器・IBDセンター)

「患者中心型レジストリについて」
講師:山崎 大(京都大学 医学研究科 地域医療システム学講座 特定講師)
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「炎症性腸疾患領域における患者中心型レジストリ」
講師:松岡 克善(東邦大学 医療センター佐倉病院 消化器内科学 教授)
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13:30~15:30リアルワールドデータを用いた臨床疫学研究の最前線

近年わが国においてもリアルワールドデータ(real-world data,RWD)を用いた臨床研究が目覚ましく発展しています。RWDには、患者レジストリ、保険データベース、電子カルテデータなどが含まれています。本セッションでは、わが国のRWDを用いた臨床研究の現状を紹介し、その将来展望について考察します。東京大学の康永秀生氏は、わが国におけるRWDを用いた臨床研究の最新の動向について、多数の実例を元に解説します。自治医科大学の笹渕裕介氏は、大規模データを用いた観察研究に際して必要となる応用的な統計手法の知識や技術について、実例に沿って解説します。IQVIAソリューションズジャパン株式会社の岡田昌史氏は、RWDにおける技術的問題を整理し、再現可能な方法で効率的にデータを抽出するノウハウや品質管理の方法について紹介します。

共催:IQVIAソリューションズジャパン株式会社

座長:宮田 俊男(早稲田大学大学院 先進理工学研究科 教授) 

「リアルワールドデータを用いた臨床研究の実例」
講師:康永 秀生(東京大学大学院 医学系研究科臨床疫学・経済学 教授)
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「リアルワールドデータの応用統計学」
講師:笹渕 裕介(自治医科大学 データサイエンスセンター 講師)
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「データベース研究のデータマネジメントについて」
講師:岡田 昌史(IQVIA ソリューションズ ジャパン株式会社)
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15:30~15:40RWD研究助成賞 贈呈式

今般、大規模な医療データベースを活用した臨床研究は世界中で注目されていますが、実際に日本で医療者に対して活用の門戸が開かれているデータベースは限定的であり、とくにレセプトやDPCが中心でした。そのような中、医療のアウトカムを内包する、電子カルテ由来の診療情報のデータベース(RWDデータベースといいます)が構築されつつあります。この賞のスポンサーであるリアルワールドデータ株式会社(以下、RWD社)は、これを進める法人の一つです。

RWD研究助成賞は、当学会賛助会員でもあるRWD社のお申し出をうけ、理事会で協議の上設けられました。特に日本臨床疫学会の会員や専門家むけに、このRWDデータベースの活用によって、質の高いユニークな臨床研究を実践していただくとともに、さらに研究費も贈呈することにより、日本における若手研究者の顕彰とともに臨床疫学研究の発展に寄与したい、という趣旨の賞で、当学会のミッションにも合致したものでした。応募者の研究計画については、当学会の理事メンバーによって審査、採点され、特に優秀な応募者を第1回助成対象者として選定いたしました。審査選考にあたっては、臨床疫学専門家を優先しました。