ランチョンセミナー

【座長】

池内 浩基
兵庫医科大学 消化器外科学講座 炎症性腸疾患外科 主任教授

【講演①】

演題:「PRO尺度を日本語でバリデーションするためのプロセス」

山崎 大
京都大学大学院 医学研究科 地域医療システム学講座 特定講師

  • 山崎 大

【演題②】

演題:「痔瘻を合併したクローン病患者さんのQOLに関する話題」

松岡 克善
東邦大学医療センター佐倉病院 消化器内科学 教授

  • 松岡 克善

【抄録】

臨床研究において、症状やQOLなどの患者報告型アウトカム(PRO)が多く用いられるようになってきている。質の高い臨床研究を行うためには、妥当性と信頼性が検証されたPRO尺度を用いる必要があることは論を待たない。
多くのPRO尺度は国外で開発されており、日本において使用する場合には翻訳のみならず、日本語のPRO尺度で再度、信頼性や妥当性の検証を行うことが望ましい。このプロセスは、PRO尺度のバリデーションとも呼ばれる。
クローン病は原因不明の腸管の慢性炎症性疾患である。クローン病の患者では高率に痔瘻や肛門周囲膿瘍といった肛門病変を合併する。肛門病変は、患者のQOLに大きな影響を与えるが、それを評価する尺度はこれまで存在しなかった。
本セミナーでは、2021年に英国で開発された「クローン病に伴う痔瘻の症状とQOLを評価するPRO尺度:CAF-QoL(Crohn’s Anal Fistula Quality of Life)」の日本におけるバリデーションを事例として、海外で開発されたPRO測定尺度を日本語でバリデーションするためのプロセスについて解説する。
また、CAF-QoLの臨床的意義について理解を促すため、痔瘻を合併したクローン病の臨床経過と、患者さんのQOLに関わる臨床症状や困りごとについて解説する。

【講師プロフィール】

山崎 大
北海道旭川市出身。2008年宮崎大学卒業。札幌の手稲渓仁会病院で8年間、消化器内科医として研鑽を積む。2016年京都大学大学院に入学。福原俊一教授のもとで臨床疫学を学び、2019年医学博士号取得。炎症性腸疾患のレジストリー研究と、脂肪肝や脂肪膵などの異所性脂肪に関する疫学研究を行うとともに、臨床研究教育に携わる。消化器・内視鏡・肝臓・総合内科専門医。日本炎症性腸疾患学会評議員。臨床疫学会上席専門家。
松岡 克善
1996年慶應義塾大学医学部卒業。2000年慶應義塾大学大学院博士課程に入学、炎症性腸疾患の臨床と基礎研究に従事した。2005年10月より2009年6月まで米国PittsburgおよびNorth Carolinaに留学し、炎症性腸疾患の基礎研究を行った。2009年7月より慶應義塾大学医学部消化器内科、2014年10月より東京医科歯科大学消化器で勤務した。2018年4月より現職。