激論!観察研究のサンプルサイズ計算を徹底的に考える

【企画要旨】

本ランチタイムセミナーでは、観察研究のサンプルサイズ計算について考えてみたいと思います。いわゆる臨床試験、つまり医薬品の承認前のランダム化比較試験では、サンプルサイズ計算をもとに必要十分数の患者をリクルートすることが、必要以上のコストをかけることなく臨床試験を成功させるために重要と認識され、実践されてきました。
一方で、リアルワールドデータを用いた観察研究においては、サンプルサイズ計算の重要性やその方法についてのコンセンサスは未だに得られていないように思います。臨床試験と同じようにサンプルサイズを設計し、そのサンプルサイズを超えていることが確認できれば観察研究に着手する(確認できなければサンプルサイズが増えるまで待つ)ということでよいのでしょうか?それとも、現時点で得られるサンプルサイズから、検出力や、どの程度の効果であれば有意差が出せるかどうか逆算すればよいのでしょうか?
今回は、ヘルスケア・データサイエンス研究所 (RIHDS)のオンデマンド講座にてサンプルサイズ計算の講義を担当され、また「Sample Sizes for Clinical, Laboratory and Epidemiology Studies (WILEY Blackwell)」の和訳本である「医学のためのサンプルサイズ設計: 臨床試験・基礎実験・疫学研究(京都大学学術出版会)」を監訳されている田中司朗先生を座長に迎え、前半は観察研究におけるサンプルサイズ計算の知識・ツール・考え方の整理を、後半は田中司朗先生との対談形式でサンプルサイズ計算の基本~応用(例:傾向スコア解析を用いる時のサンプルサイズ計算の考え方は?)に関する話題を取り上げます。
皆様の御参加をお待ちしております。(演者:岩上将夫)

【座長】

田中 司朗
京都大学大学院医学研究科 臨床統計学講座 特定教授

【講師】

岩上 将夫
筑波大学 医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野 准教授

【プロフィール】

田中 司朗
東京大学疫学・生物統計学教室で学位取得後、京都大学探索医療センター(特定助教)、社会健康医学系専攻薬剤疫学(准教授)を経て、2017年より現職。臨床統計家育成コースにて、臨床試験の統計専門家の教育を行う。主な担当科目は、臨床試験、臨床試験の統計的方法、臨床研究データ管理学。2014 年度ベストティーチャー賞受賞。所属する多施設臨床試験グループは、日本小児がん研究グループ(JCCG、統計委員)、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG、効果・安全性評価委員・プロトコール審査委員)、骨粗鬆症至適療法研究会(A-TOP、実行委員)。主な学外活動は、日本薬剤疫学会評議員、日本骨粗鬆症学会評議員。医師向けのテキストとして「短期集中! オオサンショウウオ先生の医療統計セミナー論文読解レベルアップ30」を執筆。震災後に、放射線生物学から疫学までの科学的根拠をまとめた「放射線必須データ32」を編集。
岩上 将夫
筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野(准教授)、London School of Hygiene and Tropical Medicine (Honorary Assistant Professor)、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 (学内連携PI)
2008年 東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部附属病院や徳洲会湘南鎌倉総合病院にて内科研修後、東京大学大学院公共健康医学専攻(公衆衛生学修士課程)、英国留学(London School of Hygiene and Tropical Medicine 疫学修士課程、博士課程)を経て、2018年より筑波大学に着任、2022年より現職。専門は内科学、薬剤疫学、臨床疫学。
社会医学系指導医、日本臨床疫学会上席専門家、日本内科学会認定内科医。国際薬剤疫学会誌「Pharmacoepidemiology and Drug Safety」 Associate Editor、国際腎臓学会誌「Kidney International」 Editorial Board member。
著書に「医薬品に関する臨床系論文の読み方 ランダム化比較試験からリアルワールドデータ研究まで」、「膨大な医学論文から最適な情報に最短でたどり着くテクニック」、「超絶解説 医学論文の難解な統計手法が手に取るようにわかる本」など。