新しいRWDの活用事例を通じた医療への貢献

【企画要旨】

前向きコホート研究の大迫研究で高血圧に関する研究を続けてきた本演者は、血圧コントロールが不良であるにも関わらず治療を強化しない、いわゆる「Clinical inertia (臨床イナーシャ)」の問題に着目してきた。そこで出会ったのが、DeSCヘルスケア株式会社のリアルワールド（健診・レセプト）データである。健康保険組合、国民健康保険、および後期高齢者医療制度を含む本データベースの解析により、適切に降圧薬処方を3剤以上へ増強させることで、治療中高血圧患者における血圧コントロール不良の約4割を解消できる可能性を示している（Hypertens Res誌へ掲載済み）。本セミナーでは、この研究結果を中心に、解析の過程で感じたリアルワールドデータ解析の利点と注意点について解説する。

【座長】

田中 佐智子
京都大学大学院医学研究科デジタルヘルス学講座・特定教授

【演者】

佐藤 倫広
１東北医科薬科大学　医学部衛生学・公衆衛生学教室
２東北医科薬科大学病院　薬剤部

【プロフィール】

田中 佐智子
2000年 東京大学薬学部・卒業
2005年 東京大学大学院医学系研究科博士課程・修了　博士（保健学）取得
2005年 国立がん研究センター・リサーチレジデント
2007年 東京理科大学工学部経営工学科・助教
2009年 京都大学大学院医学研究科EBM研究センター
(附属病院臨床研究総合センターに組織改編)・特定助教
2014年 京都大学大学院医学研究科薬剤疫学分野・特定講師
2015年 滋賀医科大学医療統計学部門・准教授
滋賀大学 データサイエンス学部・准教授（クロスアポイントメント）
2020年 京都大学大学院医学研究科デジタルヘルス学講座・特定教授
佐藤 倫広
【略歴】
2003年4月～2008年 東北薬科大学（現・東北医科薬科大学）卒業
2008年4月～2013年3月 東北大学薬学研究科　修士号・博士号（医療薬学）取得
2013年4月～2016年3月 日本学術振興会 特別研究員PD（東北大学病院 薬剤部 所属）
2016年4月 東北医科薬科大学医学部　衛生学・公衆衛生学教室　助教
2023年4月 同所属　講師
2023年8月 東北大学病院薬剤部　兼任
【受賞歴】
2012年5月 『第1回臨床高血圧フォーラム』, 一般演題 優秀賞受賞
2013年3月 東北大学大学院薬学研究科 博士後期課程 東北大学総長賞受賞
2013年4月 『The 5th Pulse of Asia 2013 Seoul（第5回アジア血圧脈波研究会2013　ソウル）』, Best Oral（ベストオーラル）受賞
2014年5月 『第3回臨床高血圧フォーラム』, Young Clinician Award (YCA)（若手臨床医学者賞）最優秀賞受賞
2014年6月 『日本病院薬剤師会 東北ブロック第4回学術大会』, 優秀ポスター賞受賞
2020年6月 第11回日本循環器病予防学会奨励賞
2022年7月 第14回Journal of Atherosclerosis and Thrombosis (JAT)論文賞受賞
2023年6月 『第59回日本循環器病予防学会学術集会』Young Investigator’s Award最優秀賞（第13回日本循環器病予防学会予防医学賞）