ー臨床に献身する総合診療医の学術的活躍ー

【企画要旨】

スペシャリストが自分の武器となる手技や治療法によって、そのニーズのある場で患者の診療をする、いわば自分の診療スタイルをある程度固定させて活躍する特徴がある一方で、総合内科医、総合診療医などのジェネラリストは、臨床現場や患者のニーズに応じて自分の診療スタイルを変化させて対応するという特徴を持っている。
今回の「アカデミックジェネラリスト」は、単に研究をするジェネラリストを意味するのではなく、臨床現場のニーズに応じて自分のスタイルを変化させるがゆえに、行う研究自体も多岐に渡り「ジェネラル」である、という側面を強調するための企画としたい。現場のニーズに応じて差し迫ったリサーチクエスチョンに対して分野を問わず柔軟に研究することができる存在である。
また、アカデミックジェネラリストは、研究ではなく臨床をメインに置きながら、問題解決の1つの手段として研究をおこなっている、という側面がある。つまりGeneral academicsではなくAcademic generalistsである。
この企画では臨床現場でアカデミックジェネラリストとして実際に活躍されている3名の先生方にご登壇いただき、それぞれ忙しい臨床に従事しながらどのように学術的活動をしているかを発表いただき、全体議論で「アカデミックジェネラリスト」について深堀りし、ジェネラリストのアカデミアの魅力と発展について考察する有意義な時間としたい。

【座長】

濱口 杉大
福島県立医科大学 総合内科 教授

【演者】

濵田 修平
筑波大学医学医療系 助教(筑波大学附属病院 神栖地域医療教育センター/総合診療科)
社会福祉法人恩賜財団済生会 神栖済生会病院 内科主任部長
原田 侑典
獨協医科大学病院 総合診療科
獨協医科大学 総合診療医学 講師
濵田 治
愛仁会高槻病院 総合内科 医長
京都大学大学院医学研究科 医療経済学分野 研究員

【プロフィール】

濵田 修平
2005年札幌医科大学医学部卒、勤医協中央病院初期臨床研修、河北総合病院内科を経て、2008年より北海道江別市立病院で総合内科後期研修医として総合診療医の研鑽をしながら研修システムの立ち上げに関わる。その後、江別市立病院で指導医として従事。2017年より筑波大学総合診療グループに異動し、2019年筑波大学大学院博士課程修了。2022年4月より現職。
日本でも下位を争う医師不足地域かつ日本有数の工業地帯において、総合診療医研修の環境整備とともに、地域包括ケアシステム構築と中小企業労働者の健康維持のためのシステム作りを通じて、医師不足地域における臨床研究体制の確立を目指している。
原田 侑典
2010年東京医科歯科大学医学部医学科卒業。長野中央病院で初期臨床研修、内科後期研修。2015年10月から1年間ドイツミュンヘンハートセンターで臨床研究フェローとしてカテーテルインターベンションに関連する臨床研究に従事。2016年10月から獨協医科大学病院総合診療科に学内助教として赴任。2019年にミシガン大学およびアナーバー退役軍人病院へ短期留学。2021年2月に医学博士(乙号)を取得し、2021年5月から現職。日本病院総合診療医学会良質な診断ワーキンググループ共同代表および評議員。診断エラー(頻度、要因、対策など)、自動問診AIと診断、総合診療科が関わるコンサルテーションと診断、非典型的な臨床像と診断、など総合診療科・総合内科として関わりが深い「診断」についての臨床研究に携わっている。
濵田 治
鳥取大学医学部卒、松江市立病院で初期研修、東京ベイ浦安市川医療センターで総合内科後期研修を修了。練馬光が丘病院総合診療科を経て、2018年4月から現職。京都大学大学院医療経済学分野の研究員となり、所属教室および病院のサポートを受け臨床研究を開始。総合内科医として診療、教育を行う過程で生じた疑問や日本のホスピタリストの有用性を研究。Hospitalist編集委員、米国内科学会上級委員(FACP)、米国内科学会日本支部理事。