臨床疫学における教師無し機械学習(クラスタリング)の使い方を徹底的に考える

【企画要旨】

近年、臨床疫学の分野においても機械学習の利活用が進んでいます。しかし、診断・予測モデル作成などの教師あり機械学習を用いた研究は多く見られるのに対し、患者集団あるいは病態を分類する教師無し機械学習(クラスタリング)を用いた研究はまだ限られているように思われます。そこで、本シンポジウムでは、まず臨床疫学におけるクラスタリングのオーバービューを概説した後、3人の演者に各自の研究(Goto T, et al. Crit Care. 2022, Raita Y, et al. Nat Commun. 2021, Kawakami E, et al. Clin Cancer Res. 2019. など)を中心に、なぜクラスタリングを行なったか、研究時に苦労した点などについて紹介いただき、最後にいくつかの論点(どのような場面・目的でクラスタリングを用いると効果的か、数あるクラスタリング手法の中からどれを選択すべきか、など)についてディスカッションを行います。教師無し機械学習(クラスタリング)という言葉を初めて聞く方からすでに実践されている方まで、幅広い方々の参加をお待ちしています(座長:岩上、後藤)

【座長/演者】

岩上 将夫
筑波大学 医学医療系 准教授
後藤 匡啓
TXP Medical株式会社/東京大学大学院臨床疫学・経済学

【演者】

川上 英良
千葉大学人工知能(AI)医学
理化学研究所(千葉大学大学院医学研究院 人工知能(AI)医学・教授 治療学人工知能(AI)研究センター・センター長 特定国立研究開発法人理化学研究所 情報統合本部 先端データサイエンスプロジェクト(ADSP)医療データ数理推論チーム チームリーダー)
耒田 善彦
沖縄県立中部病院腎臓内科

【プロフィール】

岩上 将夫
筑波大学医学医療系ヘルスサービスリサーチ分野(准教授)、London School of Hygiene and Tropical Medicine (Honorary Assistant Professor)、筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構 (学内連携PI)
2008年 東京大学医学部医学科卒。東京大学医学部附属病院や徳洲会湘南鎌倉総合病院にて内科研修後、東京大学大学院公共健康医学専攻(公衆衛生学修士課程)、英国留学(London School of Hygiene and Tropical Medicine 疫学修士課程、博士課程)を経て、2018年より筑波大学に着任、2022年より現職。専門は内科学、薬剤疫学、臨床疫学。
社会医学系指導医、日本臨床疫学会上席専門家、日本内科学会認定内科医。国際薬剤疫学会誌「Pharmacoepidemiology and Drug Safety」 Associate Editor、国際腎臓学会誌「Kidney International」 Editorial Board member。
著書に「医薬品に関する臨床系論文の読み方 ランダム化比較試験からリアルワールドデータ研究まで」、「膨大な医学論文から最適な情報に最短でたどり着くテクニック」、「超絶解説 医学論文の難解な統計手法が手に取るようにわかる本」など。
後藤 匡啓
2008年福井大学医学部卒。救急専門医取得後、ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程に進学すると同時に、マサチューセッツ総合病院救急部リサーチフェローとして臨床研究に従事。帰国後は東京大学大学院で臨床研究を行い、現在はTXP Medical株式会社にて臨床研究チームの立ち上げと運営に携わる。2022年からは横浜市立大学ヘルスデータサイエンス専攻にて臨床研究の支援を行っている。
耒田 善彦
金沢大学医学部卒業、沖縄県立中部病院で内科、腎臓/膠原病内科研修終了、2018年にジョンズホプキンス大学公衆衛生大学院卒業(Master of Public Health)し、卒業時にCapstone award受賞,2018年からマサチューセッツ総合病院研究員
2020年ハーバード大学医科学修士卒業し(Master of Medical Sciences)、卒業時にHarvard医科大学よりGordon Williams Gold Medal Award受賞
2021年に帰国して沖縄県立中部病院腎臓内科、TXPMedical research team member