【ランチタイムセミナー】PROを活用した炎症性腸疾患の臨床研究
11.3/12:00〜13:00
【企画趣旨】
炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Disease:IBD)は主に消化管に原因不明の炎症を起こす慢性疾患で、狭義には潰瘍性大腸炎とクローン病の2疾患からなる。両疾患をあわせて20万人を超える患者がおり、日常的に食事やストレス、特異な症状等より影響を受けており、日常生活に支障をきたすことも少なくない。そのため、これらの医療評価には、ますます重要性・注目度ともに高まっている。本セミナーでは本疾患の患者で行われた患者中心型レジストリ調査とQoL評価尺度の言語変換バリデーションをもとに、PROを活用した臨床研究について2名のエキスパート医師より講演いただく。
【演者】
- 山崎 大
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京都大学 特定講師
福島県立医科大学 特任准教授
熊本大学 客員准教授
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山崎 大
- タイトル:
- 患者中心型レジストリによる潰瘍性大腸炎アウトカム研究
- 要旨:
- 潰瘍性大腸炎は下痢と血便を主症状とした炎症性腸疾患で、根治療法がなく、治療は長期にわたるため、日常生活に与える影響が大きい疾患である。このような病気の特性から、病気の影響を患者目線から評価するPROが潰瘍性大腸炎のアウトカムとして重要である。本講演では「患者中心型レジストリによる潰瘍性大腸炎アウトカム研究(YOURS研究)」をもとに、PRO評価の重要性を伝え、PROを活用した臨床研究について解説する。
- 略歴:
- 北海道旭川市出身。2008年に宮崎大学を卒業。札幌の手稲渓仁会病院で8年間、消化器内科医として研鑽を積む。2016年に京都大学大学院に入学、福原俊一教授のもとで臨床疫学を学び、2019年に医学博士号を取得。消化器・内視鏡・肝臓・総合内科専門医。日本炎症性腸疾患学会IBD指導医。社会医学系専門医。臨床疫学上席専門家。
- 松岡 克善
- 東邦大学 教授
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松岡 克善
- タイトル:
- 痔瘻を有するクローン病患者に対する初めてのQOL尺度CAF-QOLの日本語版開発過程について
- 要旨:
- クローン病は原因不明の腸管の炎症性腸疾患である。クローン病では痔瘻や肛門周囲膿瘍といった肛門病変を合併する。これらの肛門病変は特にアジア人種で頻度が高いと報告されている。肛門病変は、患者のQOLに大きな影響を与えるが、それを評価する尺度はこれまで存在しなかった。本講演では、2021年に英国で開発された「クローン病に伴う痔瘻の症状とQOLを評価するPRO尺度:CAF-QoL(Crohn’s Anal Fistula Quality of Life)」の日本におけるバリデーションを事例として、海外で開発されたPRO測定尺度を日本語でバリデーションするためのプロセスについて解説する。
- 略歴:
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- 1990年 4月慶應義塾大学医学部入学
- 1996年 3月慶應義塾大学医学部卒業
- 1996年 5月-1998年 3月慶應義塾大学病院内科研修医
- 1998年 4月-1999年 5月東京歯科大学市川総合病院内科
- 1999年 6月-2000年 4月国立東埼玉病院内科
- 2000年 4月-2004 年3月慶應義塾大学医学部大学院博士課程医学研究科
(内科学専攻) - 2004年 4月-2005年 9月慶應義塾大学医学部消化器内科助教
- 2005年10月-2006年6月Post-doctoral Associate, University of Pittsburgh School of Medicine, Department of Medicine, Division of Gastroenterology, Hepatology, and Nutrition (P.I. Scott E. Plevy, MD)
- 2006年 7月-2009年6月Post-doctoral Research Associate, University of North Carolina, Center for Digestive Diseases and Nutrition (P.I. Scott E. Plevy, MD)
- 2009年 7月-2014年3月慶應義塾大学医学部消化器内科助教
- 2014年4月-2014年9月慶應義塾大学医学部消化器内科講師
- 2014年10月-2017年3月東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科消化管先端治療学講座・講師
- 2017年4月-2018年3月同・准教授
- 2018年4月-現在現職
【座長】
- 久松 理一
- 杏林大学 教授
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久松 理一
- 略歴:
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- 平成3年慶應義塾大学医学部卒業
慶應義塾大学病院内科、伊勢慶應病院内科、社会保険埼玉中央病院内科で研修 - 平成7年慶應義塾大学病院内科専修医(消化器内科)
- 平成9年東京歯科大学市川総合病院内科 助手
- 平成12-15年米国ハーバード大学マサチューセッツ総合病院消化器科研究員
帰国後、慶應義塾大学医学部内科学(消化器)助手(現助教)、専任講師、准教授を経て - 平成27年4月杏林大学医学部第三内科学(消化器内科)教授
- 平成28年4月杏林大学医学部付属病院診療科長,内視鏡室長
- 平成31年4月組織改編に伴い 消化器内科学 教授
- 令和元年11月ICIBD : Interdisciplinary Center for Inflammatory Bowel Disease
(杏林大学医学部付属病院 炎症性腸疾患包括医療センター)
センター長 兼務 - 令和4年4月1日杏林大学医学部付属病院副病院長
- 現在に至る