【ランチタイムセミナー】
2.21(土)12:00~13:00
【演者】
山本 隆一
認定匿名加工医療情報作成事業者・認定仮名加工医療情報作成事業者
一般財団法人匿名加工医療情報公正利用促進機構
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山本 隆一
- タイトル:
- 次世代医療基盤法とRWD利活用の概要
- 要旨:
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- 背景:(一財)匿名加工医療情報公正利用促進機構(FAST-HDJ)は、次世代医療基盤法に基づき認定匿名加工・仮名加工医療情報作成事業者として、医学の発展や医療関連産業の促進など公益目的でのデータ利活用を推進している。FAST-HDJは「FAir and Safe use of sTandardized Health Database of Japan」の略で、標準化された医療情報DBの構築を重視しているが、これは設立者である演者がNDBなど多くの公的DBの第三者提供に関わってきたことと関係している。
- 目的:公的DBは政策目的で収集され、研究に適した構造を持たないことが多い。本法人は、標準化されたアウトカム情報を付加することで、RWDの研究利用を促進し、医学的成果を早期に創出することを目指す。また次世代医療基盤法を、公的DBを含む各種DBの統合的分析の入口としての機能を果たすことを目指している。
- 意義:キーとなるアウトカム情報の追加により、探索範囲が飛躍的に広がり、臨床研究や産業応用への貢献が加速することが期待される。
- 略歴:
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1952 年大阪市生まれ。医師・医学博士。
大阪医科大学を卒業後、大阪医科大学第1内科、松下記念病院、聖路加国際病院を経て大 阪医科大学病院医療情報部助教授。2003年3月より東京大学大学院情報学環准教授、2013年5月より東京大学医学系研究科医療経営政策学講座特任准教授、2016年4月より一般財団法人医療情報システム開発センター理事長、自治医科大学客員教授、2018年6月より一般財団法人匿名加工医療情報公正利用促進機構 理事長。
研究内容は、医療情報の安全管理、医療におけるプライバシー保護のあり方、医療における公開鍵基盤の応用、医療コミュニケーション論等。
厚生労働省および子供家庭庁管轄のほぼすべての公的DBの第三者提供体制の構築に参加し、提供に関する専門家会議の座長・副座長を現在も務めている。
佐藤 壮
東京大学大学院医学系研究科 臨床疫学・経済学
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佐藤 壮
- タイトル:
- オンサイトセンターを利用した次世代医療基盤法に基づくSS-MIX・DPC連結データの研究実践報告:手術患者における血液検査値を利用した急性腎障害の診断病名のバリデーション研究
- 要旨:
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- 背景:次世代医療基盤法に基づき、認定匿名加工医療情報作成事業者が医療機関からレセプト・DPC・電子カルテ情報を収集し、患者単位で連結された匿名加工データの利活用が可能となった。しかし、これらのデータの妥当性、特に研究で頻用される診断病名の国内での検討は乏しい。
- 目的:SS-MIX・DPC連結データを用い、KDIGO基準をもとに術後合併症である急性腎障害(acute kidney injury: AKI)の診断病名の妥当性を評価すること。
- 方法:全身麻酔下の手術を受けた入院患者7,374人を対象とした。KDIGO基準を用い、術前の血清クレアチニンの平均値からの術後変化でAKIを判定し、診断病名(ICD-10コード: N17x)入力状況を比較し、感度・特異度等を算出した。
- 結果:KDIGO基準では全体の9.0%がAKIに該当した。診断病名の妥当性は感度4.1%、特異度99.9%であり、重症AKIや心血管手術患者で感度が上昇する傾向を認めた。
- 結論:AKIの診断病名は特異度が高い一方、感度は低いことが明らかになった。検査値データを用いることによる疾患検出の精度向上の可能性が示唆された。
- 略歴:
- 東京大学大学院医学系研究科社会医学専攻博士課程に在籍。2019年、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)医学部医学科卒。浦添総合病院での初期臨床研修を経て、2021年より厚生労働省で医系技官として新型コロナワクチン政策等に携わった。2022年より現職となり、同大学院臨床疫学・経済学教室にて研究に従事する。
研究内容は、臨床疫学、医療政策学、臨床経済学等。
【座長】
田中 勝弥
国立がん研究センター 情報統括センター
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田中 勝弥
- 略歴:
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医学博士、工学修士。
2003年東京大学大学院工学系研究科産業機械工学博士課程満期退学。同年に東京大学大学院医学系研究科・クリニカルバイオインフォマティクス研究ユニット・特任助手、2004年より東京大学医学部附属病院・企画情報運営部・助手、講師、副部長を経て2018年に国立がん研究センター情報統括センター副センター長 情報システム企画課長を経て、2021年より国立がん研究センター 情報統括センター長。同年より(一財)匿名加工医療情報公正利用促進機構・技術顧問。
ネットワークセキュリティ、暗号化技術等の研究に従事する。
1995年度日本機械学会畠山賞、ICIMTH Awards2020 Best Full Papersを受賞。